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2011年10月17日

チェルノブイリと福島原発の汚染比較2 セシウム137について

前々回の比較記事では要点をまとめず、ダラダラと書いてしまいましたが、大分前回より資料もそろってきたので、重に地図に落とした形での比較を行っていこうかと思います。今回比較する核種はセシウム137、ストロンチウム90、プルトニウム239と240の合計値の3点です。

本来であればセシウム134やストロンチウム89についても比較地図を作りたいところですが、実はこの2核種に関してはチェルノブイリにおける明確な資料がありません。何故ならこの二つの核種は半減期がセシウム134の場合は2年、ストロンチウム89の場合はたった50日と短い為、民主化によって事故5年後あたりから調査が本格化するまでに、重要な核種ではなくなった点と、検出も難しくなったという理由があるからです。また以下比較対象する資料に関しては、福島については事故後1年も経過していない現時点でのものに対して、チェルノブイリの物は事故後10年以上たってからの調査のものもあり、一概に比較対象にするべきではないかもしれませんが、その点を加味した上でご覧頂ければと思います。

■セシウム137について

cs137.jpg
↑クリックすると拡大します。

参考資料
http://radioactivity.mext.go.jp/ja/1940/2011/08/1940_0830_1.pdf (Fukushima)
http://www.nnistar.com/gmap/fukushima.html (Fukushima)
http://www-pub.iaea.org/mtcd/publications/pdf/pub1239_web.pdf (P146 Chernobyl)

まずセシウム137について原発近辺の比較地図です。これはチェルノブイリの方が事故後11年経過して出された地図である為、当初のものよりも相当軽減されている事が予想されます。本当に公正な比較をするのであれば福島のほうも11年後に航空モニタリングをして調べるべきなのでしょうが、あくまでも参考として頂ければ。また文科省の航空モニタリング地図を参考に作ったもので、各々の閾値が違う為、文科省の閾値の中間点等を大まかに線を引いて作ったものですので、厳密な地図ではありません。あくまでも大まかな参考として見て頂ければと思います。また文科省のモニタリングでは原発周辺10kmは省略されていますので、この部分は@nnistarさんの地図を参考にさせて頂きました。目安としては

http://www-pub.iaea.org/mtcd/publications/pdf/te_1162_prn.pdf

を参考にCs137とCs134が同等であると仮定して、2000kBq/m2の場所は15μSv/h、4000kBq/m2の場所は30μSv/h、7500kBq/m2の場所は56μSv/h、20000kBq/m2の場所は150μSv/hという目安を設け@nnistarさんの地図と原発構内のサーベイマップを照らし合わせて作りました。その結果20000kBq/m2以上の場所は原子炉周辺や事務所本館等の空間線量が該当し、原発敷地外にはMP1〜8の値から勘案して存在していないと判断しました。次に7500kBq/m2の地域ですが、原発敷地外で非常に高い線量を記録している夫沢や原発真西の国道6号付近などが56μSv/h以上であることから二つに分けました。次に4000kBq/m2以上の地域に関しては広く30μSv/hの地域ということで空間線量の地図から判断し、また10km圏外でも空間線量調査によって30μSv/h以上の地域がいくつかあった点を加味して北西に延びる細長い線上の地域ということにしました。2000kBq/m2以下については文科省の航空モニタリングの3000kBq/m2の線と1000kBq/m2の線の中間線を辿るように作成し、以下同じような方法で大体のドローイングをしました。

ちなみにこの地図を見る限りチェルノブイリと遜色なく見えるのですが、実はこのチェルノブイリの地図はウクライナの調査のみで隣国ベラルーシやロシアの調査が全く描かれておりません、、この地図をより広範囲に表したものが次の地図です。各々の四角で囲った枠が上記の地図範囲です。

compare.gif
↑クリックすれば拡大表示できます

参考資料
http://www-pub.iaea.org/mtcd/publications/pdf/pub1239_web.pdf (P25 Chernobyl)
http://www.pref.ibaraki.jp/important/20110311eq/20110830_01/files/20110830_01a.pdf (Fukushima)

基本的にチェルノブイリ事故においては放射性物質は北に広大な飛び地をつくっており、拡大図では見えなかった広範囲な汚染が良くわかると思います。ちなみにこちらのチェルノブイリの汚染地図ですが、一体何年に調査をされたものか良く解っていません。IAEAの資料を当たると2000年に発表されたものであるそうですが、同じような地図(ただし若干の違い、写し間違いと思われる部分も記載されている)がwikiにも載っており、

http://en.wikipedia.org/wiki/File:Chernobyl_radiation_map_1996.svg

こちらは1996と書いてあるとおり、いつのものか定かではありません。また福島の地図に関しては、こちらも閾値の違う文科省の航空モニタリングから非常におおざっぱに線を引いたものですから、完全に正確な地図ではありません。またこの地図を作った時は茨城までの調査が終わった段階のもので、群馬や新潟、埼玉等が入っていません。いずれにしろ線の引き方等についての解説は前々回の記事を参考にしてください。

次にこのチェルノブイリの地図では一般的に距離感をつかむのは大変だと思うので、もう一回り広範囲にした地図も掲載しておきます。


↑クリックすると拡大します。

参考資料
http://www-pub.iaea.org/mtcd/publications/pdf/pub1239_web.pdf (P24 Chernobyl)
http://radioactivity.mext.go.jp/ja/1910/2011/09/1910_092917_1.pdf (Fukushima)

ここまで拡大すれば、大体の目安になるかと思います。群馬や柏などのホットスポットがチェルノブイリにおける北欧三カ国の高濃度地域やオーストリアアルプスなどと同じくらい(実際は7割程度の濃度だと思います。北欧の最高濃度は120kBq/m2という場所があったそうですが、群馬において最高濃度は60-100kBq/m2の間であり、しかも該当地域の狭さから精々80kBq/m2がせいぜいだと思われますので)という目安が成り立つかと、またこのチェルノブイリの地図が一体何年に調査されたものなのかが不明(図には1998と書いてありますが調査はもっと前か、それとも事故当初の濃度換算をしているか不明)な点も加味すると、ここまで過剰に評価する必要もないかもしれません。またこの地図においては2kBq/m2以下という閾値がありますが、これは文科省の地図には該当できるものがないため、@nnistarさんの空間線量地図や

https://spreadsheets.google.com/spreadsheet/pub?hl=en&key=0AjgQ0pwrXV8YdGJORHAzdi1qMlFldUMwRkl4V3VfN0E&hl=en&gid=1

こちらの各県庁所在地で行っている放射性物質の降下量調査なども参考にして当てずっぽうながら2kBq/m2以下の地域の地図も線入れさせてもらいました。まあ信憑性の程は非常に怪しいものですが、参考程度に見て頂ければと思います。
posted by mockmoon at 20:25 | 記事
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